企業ITの6大要素とは?25年の経験から辿り着いた答え〜基幹システム・IT組織・IT開発方針編〜
私がIT前提経営®のアドバイザリーを行う際には、DX推進、ITグランドデザインの策定、IT内部統制のいずれであれ、6つの独自の観点で企業のITの諸問題を整理して、解決の方法を提案していきます。この6大要素というのは、考え抜いて出てきた要素ではなく、私が1997年からインターネットとシステムインテグレーションに経営者として関わる中で贅肉を取り払っていった結果として収斂された切り口です。
1.基幹システム
2.IT組織
3.IT開発方針
4.IT法務
5.認証取得
6.セキュリティ
今回はこの6大要素のうちの3つ「1.基幹システム」「2. IT組織」「3. IT開発方針」を取り上げてみたいと思います。
1.基幹システム
企業においてシステムと言えばまず基幹システムを思い浮かべると思います。3大基幹システムとはよく、会計基幹システム、業務基幹システム、営業/マーケティング基幹システムと言われます。
ひと昔前は、それぞれの会社がオーダーメイドで開発ベンダーに開発を委託しフルスクラッチで開発をしていました。しかし昨今はインターネットが安定し、その上でSaaSが育ってきたため、SaaS同士を組み合わせて基幹システムを構築し、現場業務はSaaSにFit to Standardするようになってきました。このことは、これまでにも何度かこのブログでポストしています。
No Making, Just Usingの前に発生するChoosingの重要性について
カーボンオフセットとクラウドサービスの選択基準
「プラットフォーム・ロックイン」という憂鬱から抜け出すために考えるべきこと
システムは「作らず、使え(No Making, Just Using)」 〜なぜ今 Fit to Standard が重要なのか〜
まず、それぞれの企業が基幹システムをどのように構築すべきかということを現状の分析からはじめ、同時に企業文化をしっかり捕まえる形で整理・分析・提示していきます。
その上で重要になるのが、次に説明する「2. IT組織」です。
2.IT組織
多くの企業が情報システム部門をお持ちだと思います。これからデジタルシフトに舵を切っていくと宣言した企業などは、「DX部門」というように看板を付け替え始めているかもしれません。
しかしご承知の通り、看板の付け替えでは何もおこりません。そこで私たちは、各企業にあったIT組織とはどのようなものなのかを企業文化や既存の人材の分析から始めて、最適な提案をいたします。
例えば、ITシステムの構築そのものを内製で行うのか、外注するのかというような大方針も議論の上決定してきます(
内製主義/外注主義の決定
)。
また、そもそもDXに資する人材が不足していると相談されることもありますが、本当に不足しているのかどうかすら評価・検討していきます。その過程では全社員に対してサーベイを行うことで、その中から潜在的なDX人材を炙り出し、面談や問題意識の共有をしながら動機付けを行い、コンサルティング会社やシステム開発ベンダーに頼る前に自社でしっかりとDXを担っていける人材を集めることに時間を費やしたりもします。
このようにしてその企業にあったIT組織を構築し、そしてそれが私たちのアドバイスが終了してもサステナブルに一種の企業文化として残り続けるようにインプリメンテーションしていきます。
さて、続いてはこのポストで最後になる3つめの要素について解説します。
3.IT開発方針
「1. 基幹システム」と「2. IT組織」の議論と実践が進んだ上で、「当該企業が今後どのようにITシステムを開発していくか」を確定していきます。これは後々、一種の情シスのバイブルとなり、異動や人の入れ替わりがあっても基本的な考え方に立ち返れるようにします。
「2. IT組織」の状況によって「3.IT開発方針」は異なってきますが、いずれにせよ昨今は「
クラウド・バイ・デフォルト原則
」のポジションをとって考えていくことが多くなりました。かつて(というか目下)、マイクロソフト Windows Serverのバージョンアップへの対応によって、多くの中小企業や大企業が想定外の多大な投資を余儀なくされたことを考えると、SaaS利用を前提にすることが望ましいのです。しかし、
APIエコノミーのポスト
で書いた通り、API連携にかかる開発が生じますし、どのようなデータをどのSaaSに溜めることで将来何が起こるのか、という議論をしっかり行い判断しなくてはなりません。これは、当初のIT投資をしっかりと将来の業績として生かすためです。
望むと望まざるとビックデータ時代に突入し、学生は文学部でもデーターサイエンスを学び、どの企業もデータドリブン経営を宣言しています。となれば、当然、「3.IT開発方針」の中で議論される方針が、基礎となるデータ蓄積のために正しい方法でなければならないのです。
ガーディアン・アドバイザーズ株式会社 パートナー 兼 IT前提経営®アーキテクト
立教大学大学院 特任准教授
高柳寛樹
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高柳の著書はこちらよりご参照ください。
「IT前提経営」が組織を変える デジタルネイティブと共に働く
(近代科学社digital)2020
まったく新しい働き方の実践:「IT前提経営」による「地方創生」
(ハーベスト社)2017
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